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「いっぱい食べたね」
「おいしかった。ごちそうさま」
おなかがたっぷり膨らんだ私たちは良平さんの提案で腹ごなしに夜の散歩に出ることにした。火照った頬に冷たい風が気持ちいい。
「そうそう、今日お義母さんが来たよ」
おでんにかまけてすっかり報告するのを忘れていた。褒めてほしいことなのに。
「大丈夫だった?」
「うん、お義母さんが腰が痛いって言ってたから、お義母さんの家の近くの整骨院を紹介してあげたの。新しくできたところみたいだけど、口コミが良いの。うちに来るより断然楽でしょ?」
えへんと胸をはる私に対して、一瞬時が止まったかのような良平さん。でも次の瞬間はあの優しい笑顔で私の頭をなでてくれた。
「千代ちゃんはえらい。えらいし、本当に優しいし。」
優しいのは良平さんである。息苦しさを覚えるのに、私が母親と縁を切ったように良平さんはお義母さんと縁を切らないでいる。
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