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遊園地は楽しかった。
田舎の古い遊園地で、乗り物はオーソドックスなものしかない。
それでも忙しい父には、めったに連れて行ってもらったことのない遊園地だから、巧には物珍しいものばかりだ。
四人で観覧車やコーヒーカップに乗る。
巧ははしゃぎながら、奏がずっと不安そうな顔をしているのが気になった。
かなくんは、まりえちゃんを待っているのかもしれない。
まりえちゃんはいつ来るんだろう。
まりえちゃんがいたら、絶対もっと楽しいのに。
巧は、楽しみで仕方ない。
おばさんに手をつながれて歩きながら、巧は奏の手をとった。
すると奏は、痛いほどぎゅっと、巧の手を握り返した。
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