いつもの朝

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 昨夜は俺の帰りが遅くて菜奈ちゃんは先に寝ていた。風呂後にドライヤーと電気ヒーターと電子レンジを同時に動かしてしまってブレーカーが落ち、予約が飛んでしまった、というのはどうだろう。朝は菜奈ちゃんが先に起きていたけど、予約が完了しているかなんて、わざわざ確認しないはず。  うん、悪くない。これでいこう。 「きゃあっ」  二度目の悲鳴だ。もしかして、ミックスベジタブルを茹でたお湯をこぼしてしまったとか? 火傷してない?   すぐにキッチンへ戻ると、菜奈ちゃんは居間の棚の上に置いてある飼育ケージを見ていた。 「どうしたの?」 「トキくんがいないの」 「えっ、いない?」  俺は飼育ケージに目をやった。そこには菜奈ちゃんが飼っているエボシカメレオンのトキサブロウがいるはずだったが、いつも居座っている枝の上に姿がない。  はっきり言って、俺には爬虫類の魅力は分からない。だが、毎日笑顔で餌をあげている菜奈ちゃんの姿をおれは見ている。心から大切にしているペットなのだ。 「ごめん、俺が扉をずらしちゃたのかも」 「レンくん、昨日ケージの扉に触ったの?」 「いや、側を通りはしたけど……そのときにうっかり触れたのかも」 「じゃ、ちがうよ。昨日あたしがトキくんに餌をあげたときにちゃんと閉めてなかったと思うの」 「そ、そう。とにかく、探さないとね」 「うん、探して」  菜奈ちゃんは今にも泣きそうだ。早く安心させてあげなければ。  
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