いつもの朝

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 菜奈ちゃんが居間の照明器具の上を指差している。丸形の照明は天井に密着しているのだが、その僅かな隙間に入り込んでいるのだ。  むむ、器用なやつ。だが屋外に逃げていなくて良かった。  短くなっても菜奈ちゃんとの食事時間を楽しみたい。早くケージに戻ってもらわねば。  素早く踏み台を用意し、照明器具に手を伸ばす。 「ほらほら、そんなところにいないで。おりて来いよ」    するとトキサブロウは口を大きく開けて威嚇してくるではないか。もしかしたら、やつは俺が料理人であることを知っていて、下ろされてしまうことを恐れているのかもしれない。 「大丈夫だ、俺にとって爬虫類は食材じゃない」 「お前はオレ様に近づくな」  トキサブロウはそう言わんばかりの顔で大口を開ける。優しく接してやっているというのに、なんて態度だ。  なかなか捕まえられないでいると、俺の肩越しから枝が伸びてきた。菜奈ちゃんがケージの中から取り出した一本を掲げているのだ。 「ほうら、こっちよ。ここに移っておーいで」  飼い主の声が分かるのか、トキサブロウはさっと枝の先端へ移った。安定した場所を探して枝の上をするすると移動する。俺の顔の真横を通り過ぎたとき、ぎょろりと球体の目玉が睨んできた。と思った瞬間、耳たぶに噛み付いてきた! 「あたたたたた!」
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