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「お父さん……お母さん……起きてよ」
街に響く轟音。
「目を覚まして……お願いだから」
額から血を流した子供は腫れた目をして、ただ立ち尽くしていた。
瓦礫に潰され、素人目からでももう助からないと理解る両親の亡骸の前で。
ドゴォォォオン!
現在進行形で繰り広げられる正義と悪者の激闘。
その戦禍に巻き込まれた人間のことなど気にする様子もなく、両者とも派手に暴れまわる。
「・・・・・」
自由自在、縦横無尽に飛び回り、破壊されていく街並み。
避難が少し遅れただけで簡単に見棄てられてしまう人達は戦火に燃やされ、瓦礫に潰され、辛うじて生きている者もただ隠れ、下唇を噛み締めながら待つことしか出来ない。
戦闘が終わるのを。
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