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「し、下は、さすがに、自分で脱げ……よ」
マルクスのシャツの前をはだけさせながら、震える声でそう告げた。
多分、今の俺は耳まで真っ赤だ。
(なんだろ。俺の、知らない奴……みたいだ)
マルクスの胸には、俺の知らない傷がたくさんあった。きっと、これらは仕事中についた傷なんだろう。
浅そうなものから、深そうなものまで。いろいろな傷がついていて、こいつは本当にすごい奴なんだって、今更理解した。
「……俺のも、触ってみるか?」
そんな俺の考えも知らないマルクスが、下穿き一枚になって、そう問いかけてくる。
「なんで」
「いや、なんか、俺の胸をじっと見つめてたから」
そう言ったマルクスが、俺の手を取って自身の胸に当てる。……どくどくと、大きな音を鳴らす心臓。
あぁ、こんな気持ちになっているのは俺だけじゃないんだ。その事実が、嬉しい。でも、それ以上に――苦しい。
「……お前の胸、分厚い」
マルクスにされたように、ペタペタと胸に触れていると、マルクスが笑った。
「くすぐったかったか?」
顔を見てそう尋ねれば、マルクスはゆるゆると首を横に振った。
「いや、なんだろうな。……ロドルフに触られてるって思ったら、興奮した」
「……もうすでに、興奮してるじゃん」
下穿きの中で強く主張をしているソレを見つめつつ、俺はそう呟いた。
けど、マルクスは首を横に振る。
「いや、もっと興奮した」
はっきりとそう言われて、本当にいたたまれない。
そっと視線を逸らせば、手を掴まれる。驚いてマルクスのほうに視線を向ければ、マルクスが俺の人差し指を咥えた。
「……っ」
ねっとりとした動きで、舐められた。
「ぁ、あっ、マルクスっ……!」
舌で舐められて、身体にぞくぞくとしたなにかが這いまわってくる。
「ぅ、だめっ……!」
今度は指の間に舌を這わせられた。ぬるりとした温かいもの。じゅうっと指を吸われて、身体の中が燃えるみたいに熱くなる。
「……指、感じる?」
「しゃ、べるなぁ……!」
俺の指を咥えたまま、そう問いかけてくるマルクス。
ぶんぶんと首を横に振って、マルクスの口腔内から指を引き抜こうと頑張ってみる。
しかし、身体に上手く力が入ってくれなくて、それさえ難しかった。
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