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硬くて熱いソコに、布越しに指を這わせた。
「もう、こんなになってるし……」
さらに大きくなったソレが、なんだか愛おしく感じてしまった。それは、惚れた弱みなのか。
「めちゃくちゃにしていいよ。……マルクスの、好きにして」
「っつ!」
俺の言葉を聞いたマルクスが、俺の唇に噛みつくようなキスをしてくる。
じゅっと舌先を吸われて、身体中に甘いしびれが広がっていく。何度も何度も口づけて、酸欠からなのか頭がくらくらとした。
その間にも、マルクスの手は俺の身体を撫でまわしている。その手が腰から下肢に伸びて、身体が緊張からなのかまたびくんと震えた。
……違う。これは緊張じゃない。期待だ。
「ロドルフ」
「い、いい、続けて……」
マルクスは変なところで臆病だから、俺が嫌がっていると思ったら、すぐに行為をやめてしまおうとするだろう。
頭の何処かでは、この関係が虚しいものだって、理解していた。が、もういい。
(この際、こいつの童貞を貰って、思い出にして生きて行けばいい……)
俺とマルクスが結婚できるわけがない。だったら、こいつの童貞を貰って、思い出にして、別の奴と結婚する。
一度抱かれておけば、俺の拗らせた恋慕も、落ち着くだろうと信じて。
そんなことを考えていれば、マルクスの手が俺のスラックスの上から、陰茎に触れる。緩く勃ち上がっていたソコを撫でられて、さらに下肢に熱が溜まっていく。
「ロドルフ。俺、お前のことが、す――」
言葉の続きが容易に読めたので、俺は顔を上げて、言葉を遮るようにキスをする。
一方的にキスをして、舌でマルクスの口腔内を蹂躙する。
「……それ以上は、言うな」
唇を離してそう言えば、マルクスの眉間にしわが寄った。
けど、さすがに欲望には勝てなかったらしい。こくんと首を縦に振って、その指が俺のシャツのボタンにかけられる。
(マルクスは、人のシャツを脱がせるのは、ハジメテなのかな……)
もしもそうだったとしたら、これまた嬉しい……かも、しれない。
そういう意味での『ハジメテ』も、俺がもらえていたら。……これ以上の幸福は、ない。
「直接、触ってもいいか?」
一々問いかけなくてもいいのに、マルクスは静かな声で問いかけてくる。
そういうところも、なんだかとっても愛おしい。
だから、俺は頷く。
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