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俺の実家であるヘルテル男爵家の離れ。
そこで、俺はほかでもない幼馴染のマルクスと一緒にいた。
(っていうか、マルクスはなんの相談なんだ……?)
つい数日前。マルクスが俺の元をいきなり訪れた。そして、神妙な面持ちで「お前にしか出来ない相談がある」と言ってきたのだ。
その姿があまりにも思い詰めていたので、俺は了承。今日、この時間に離れに来てほしいとマルクスに言った。
「お前にしか出来ない相談」ということは、ほかの人間には聞かれたくないだろう。
そう思ったので、俺は気を回して使用人たちにも近寄らないようにと言った。あと、両親にも「マルクスと二人で話がしたいんだ」と言って近寄らないようにしてもらった。
なので、この離れどころか、この付近には俺とマルクスしかいない。
「……あの、さ」
ティーカップをテーブルの上に置いて、俺は小首をかしげる。
そのままマルクスの真っ青な目を見つめれば、奴は露骨に視線を逸らした。……もしかして、なんかあったのか?
「俺にしか出来ない相談って、なに?」
直球だったかもしれない。だけど、このまま無言で居続けても気まずいだけだ。
「……俺、マルクスのこと、この世界で一番よく理解してるって、自負してる」
産まれてからずっと一緒だったのだ。幼馴染とか、親友とか。それ以上のきずな……みたいなものが俺たちの間にはある。
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