理想死

1/1
前へ
/1ページ
次へ
 理想死とはなんだろう?  とある老夫婦の死を覗いてみよう。  晴れた日の昼下がり。由紀子と一郎が縁側に座って、お茶を飲んでいる。  お茶を飲み終わると、由紀子がお茶を片付けに台所へ行った。  少しすると縁側に戻って来て、由紀子は一郎の横に座って手を握る。  お互いの脈動を感じながら、ゆっくりと二人は床に寝転んだ。  お互いに脈が弱まって行く。  二人の眼がゆっくりと閉じられ、眠りの微睡(まどろ)みを感じながら由紀子は逝った。  由紀子の眠りを確認したあとに、一郎も眠りにつくのだった。そう一生の眠りに。  そうして、ほぼ同時に穏やかに生涯を終えるのだった。 終わり
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加