明るい朝は、トーストの匂い

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 四年生になると、海人とクラスが別れてしまった、それでもめげずに、休み時間になるたびに海人の所へ行った、海人はいつも優しく笑って、迎えてくれた『空知といると、安心する』って言って。    その年の秋、久美さんは、女の子の赤ちゃんを産んだ、俺たちの妹だった。  名前は風花(ふうか)。  手なんて指が付いているのが不思議なくらい小っちゃい、でもその手で、俺の指をギュッと握ってくる、滅茶苦茶可愛い…もうこれ可愛がるしかないでしょ。  海人も嬉しそうだった。  五年生も違うクラスだった、でも部活は同じサッカー部だったから、海人と一緒で楽しかった。  そうして今度は、弟が生まれた。  名前は波千(なち)。  久美さんは、仕事を辞めて、ずっと家に居て、風花と波千の世話をしている、勿論俺たちも久美さんを手伝う。  風花も波千も可愛くて仕方ない、波千はまだ泣いてばっかりだけど、風花は笑うようになった。    六年生になった、今回はなんと海人と同じクラス、名簿番号順に並ぶと、俺は海人の後ろ 海人の後ろ姿をじっと眺めながら、あぁ俺、相当やばいなぁって思った。  だって、その頭をよしよしと撫でたくなるんだ、それでできれば俺もよしよしされたい、  風花や波千に対して思うのと全然違う。    俺の中の独占欲、そうか…… 俺は海人を独り占めしたい、他の人と楽しそうにしているといらいらするし…… もしかして俺、海人が好きなのか。  独占したい、誰にも渡したくない、唯一無二になりたい…… 好きだ。 これが恋なんだ。  それに気が付いた日から、俺の健気な努力が始まった。  だって、海人にこっちを見てもらわなきゃ、勉強もしたし、スポーツも頑張った…… おかげで、クラス委員とか、生徒会とかもやる羽目になったけど……。  海人の視線を独占するための努力は惜しまない。 それが俺の主義になった、目指せ!頼れる男。   海人が俺の原動力で、俺のすべてだ。  海人も、俺を好きだといいのに…… 気づかないうちについているため息が増えた。  悶々とした、思春期を迎えた、だって、もう仕方ないよね、恋を自覚しているんだから。    神様…… いるなら助けて!俺の味方で居てください!
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