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「これはやばい。救急車を呼ばないと」
「必要ないよ。もう死んでる」
「なんだって」
叔父は大きくため息をつくと、言った。
「お前は知らなかったようだが、ばあさんは呪術師だったんだ」
「呪術師?」
「ああ、簡単に人を殺せるほどのな。もちろんむやみに殺したりはしないが、痴呆で訳が分からなくなったんだろう。無差別に近くにいるものを殺すようになった。自覚のないままに。だからこの近くで毎日人が死んだんだ」
「……」
「それを止めに来た。これを使って」
「その鏡はなんだ」
「これは呪術を跳ね返す鏡だ。ばあさんは鏡に映った自分に呪術をかけた。その呪術が跳ね返って、ばあさんに呪術がかかったんだ」
叔父はそう言うとうつむき、少し涙を流した。
終
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