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祖母は鏡に映る自分をじっと見ていたが、しばらくすると祖母の顔が変わった。
明らかに苦しみだし、そのうちに全身をばたばたさせるようになった。
そして床に倒れ、倒れたまま激しく床を飛び跳ねる。
水から上がった魚のように。
「!」
父が思わずかけよろうとしたが、叔父が制した。
「動かないで!」
叔父の強く鋭い声で、父は止まった。
黙って祖母を見る。
祖母はとても八十四歳とは思えないほどに激しくのたうち回っていたが、やがて静かになった。
その顔に零れ落ちそうなほどの苦悩と恐怖を刻んで。
「終わったな」
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