あえる、あえる。

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 ***  その後。  杏実ちゃんは、行方不明になった。おまじないを始めてきっかり一か月後に。  家を出て学校に向かったところまではわかっているが、そこからの足取りが全く掴めていないという。私はそれを聞いて、頭を抱えるしかなかったのだ。  恐らく彼女は、井戸へ向かったのだ。そして、井戸に落ちて、死んだ。――警察も学校は調べ尽くして、きっと井戸の中だって見たはずだ。それでも見つからなかったということはつまり、井戸に落ちてそのまま神隠しのように消えてしまったとか、そういうことではなかろうか。  彼女がどうして井戸に通うことをやめなかったのか、井戸の中で何を見たのか、あそこまでおまじないを妄信したのかわからない。確かなのは、杏実ちゃんがそうなってしまったのは私がおまじないを安易に教えたせいだということ。私のせいで、杏実ちゃんはきっと死んでしまったのだろういうことだけだ。  だから、私には責任があるはずである。彼女の死の真相を突き止める責任が。彼女が何を見たのか知る責任が。 ――ううん、知りたい。彼女が何を見たのか、知りたい、知りたい……会いたい。  全身を包むのは責任感と、罪悪感と――それを上回る、大きな高揚。  私の足は今、あの井戸に向かっている。  きっと大変なことになるのだろう。同じ末路が待っているのだろう。それでも自分で自分を止められない。  あそこで待っている彼女に、あるいは別のナニカに、私は会いたくてたまらないのだから。
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