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エピローグ
岬に着く頃にはすっかり涙も涸れ、
私は少しスッキリした気分になっていた。
岬のベンチに2人並んで座り、
夫が買って来てくれた温かい缶コーヒーを飲んだ。
その缶コーヒーは、なぜかとても甘ったるく感じた。
帰りの車の中で、私はここ最近の事を思い返していた。
月に1度は山に登っていたはずの夫が、
数ヶ月前から山に行かなくなった。
きっと、塞ぎこんでいる私の事を心配しての事だろう。
私の為に、趣味の登山をやめていた夫の事を思うと、
申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
そして、今日ドライブに誘ってくれたのも、きっと同じ理由からだろう。
私を元気づけようと、ドライブに誘ってくれたのだ。
その時、自分がいかに夫に心配をかけていたかという事に気づいた。
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