第2話 良心、あるいは死者の呪い

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 そうだ、こんな宝石をたくされても困るだけだ。きっと余計なトラブルを招くにちがいない。俺は宝石を手にし、代わりにすべての銀貨をそこへ残していった。  これでいい。  世界にとって、まるでどうでもいい屍肉(しにく)あさりが一人消えるだけ。運がよければ育ててもらえるだろう。そこまで思って、そういえば、男の子とも女の子とも知れず、名前も知れず、なにも知らないままだったと気付いた。だが、まあいいだろう。これから、仲間だった屍肉(しにく)あさりたちに手あらい歓迎をうけ、あさられる側になるのだから。
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