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細胞の一つ一つが、喜んでるんだと思う。
碧で満たされる。
汗と吐息とぬくもりが混じり合って、どこまでが俺で、どこまでが碧かわからないくらいに、ただただ心地よい。鼓動を重ねているだけで、それだけでイイ。
ゆっくりと出ていく碧の感触さえ、官能を刺激される。弛緩した後孔から、ぬるいものが溢れる。漏らしたみたいで不快なはずなのに、嫌じゃなかった。
手慰みで、碧の臍にかかった精と混ぜてみる。二人分の体液を、碧の下腹部に塗りつける。
「くすぐったいよ」
「ん……」
碧は笑いながら俺の腰骨を撫でて、尻肉を掴んだ。力まかせに揉みこまれる。俺は碧の左手を取って、無言で先を促した。
「なあに?」
「……もっと」
「もっと、なあに?」
クスクスと笑う碧を、軽く睨む。赤い唇に噛みつくようなキスを落とす。
「ふっ、んぅ、」
舌を絡めながら、碧の乳首を引っ掻く。軽くつまんでコリコリ転がすと、なだらかな脇腹が波打った。気を良くした俺が続きをしようとすると、まだぬかるんでいる窪みを二本の指でくじられる。
熱を持って疼いている入口を弄られ、同時にやわらかな膨らみを握られて、今度は俺の方が呻きを漏らす番だった。
「あ、碧ッ」
さっきまで繋がっていたそこは、神経が剥き出しになったみたいに敏感だった。やわな刺激じゃ物足りない。もっと嬲るくらい激しく、強い力で責められたくて、思わず腰を揺さぶっていた。
「今度は、緋聖くんの顔を見てしたい」
うわずった声で囁かれて、半端に焦らされたままの肉筒が疼いた。
「いいよ」
俺は碧の上から降りると、誘うように膝を立てて、とびきり甘いGlareを向けた。
「その次は、うしろからがいい」
「うん、いいね」
俺たちは、離れていた距離と時間を埋めつくすように、外界の喧騒から隔てられた地下室で、馬鹿みたいにしつこく交わりあった。
鬱憤と不安を晴らしたくて、不足していた成分を喰らうように、手足を絡ませて、喉が枯れるまで喘いでいた。
体の余韻が冷めないまま、夢かうつつかという状態でまどろんでいた。
空調は快適で、当面の心配ごとはなく、久しぶりのプレイと交歓で全身が満たされていた。
不意に、ミシミシと壁が軋むような、低い音が響いた。揺れたのかもしれない。なにかに体当たりされたみたいな、おかしな振動だった。
「地震?」
「いや、ここ地下室だよね」
「そもそも、地震なんて起きる土地なのか、ここ」
っていうか、いま正確に自分がどこにいるのかさえ、わからないんだけどな。
「なんだったんだろうね」
「さあな」
考えてもわからない。明日の自分がどうなってるかすら、見当もつかない。俺たちの身の上なんて所詮、チャールズの掌で転がされる程度の存在。
俺と碧は早々に考えるのを諦めて、互いに抱き合って眠った。
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