1.よりによって淫魔かよ

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1.よりによって淫魔かよ

   気がついたら森にいた。  どうやら俺は転生したらしい。て事は、俺はあの交通事故で死んだんだろう。  それは、仕方ない。18歳でもっと生きたかったけど死んじゃったもんはしょうがないだろ。  でもさ、 「何で俺が淫魔なんだよっ!!!」  他に選択の余地は無かったのか!  しかも俺たぶんサキュバスだ。インキュバスじゃない。  生まれたばかりだけど本能で分かる。  でも性別は男のまま。男でサキュバス……誰得だ。  あーこれもう詰んだわ。どうやって男の俺が男から精気を奪えってんだよ。  どんなに魅了を使ったとしても俺相手にその気になら無いだろ。  何より俺自身が男にそんな事をしたくない。 「……死にたい」  生まれたばかりでなんですがもう死にたいです。  なんて思ってたらガサリと物音がして振り返ったら背の高い若い男が立っていた。  あ、俺死んだわ。  そいつは勇者だった。見た事も会ったことも無いけれど、やはり本能で分かった。  俺は淫魔で、いわゆる魔族で、そして勇者は魔族を倒す正義のヒーロー。  ガサリとまた一歩勇者が俺に近づく。 「ひっ………」  死にたいなんて言ったが、いざ死が目の前に迫ると恐怖で泣きそうになってしまった。  やっぱり死ぬのは怖い。たとえ一度経験してたって怖いものは怖い。  逃げたくても腰が抜けて動けない俺に勇者の手が伸ばされる。  あぁ、ここまでか。  享年一分、短かったなぁ……。  勇者の手が俺の顔に触れ、覚悟を決めて強く目をつぶった。 「……淫魔?」  耳に心地よい低い声だった。 「………っ、くそっ……なんて強力な魅了を使う淫魔だっ!」 「……へ?」  苦しげな様子に思わず目を開けたら、苦しげな表情をした勇者が目の前に迫っていて、そのまま押し倒された。 「んぐ……っ、んんん!?」  噛み付くように唇を奪われ、何をされているか理解する前に舌まで入れられた。  全てを奪うような激しいキスに溺れそうで苦しくて怖くて、だけど淫魔の性質なのか確実に快感も拾っている。  美味しい、もっと。  呼吸もまともに出来ないほどの激しさにクラクラしながら、そんな事を思う自分が居た。  そうこうしている間に勇者の大きな手が俺の服にかかる。  俺はほとんど裸に近い格好だったから、紐みたいな服を引っ張られればあっけなく全裸になってしまった。 「んあっ!! やぁぁあんっ」  ピンと立った桃色の乳首にむしゃぶりつかれて、こんな所で感じたくないのに大げさなほど反応してしまう。  女みたいな甘えた声が気持ち悪いのに、勇者から一つ一つ与えられる刺激に敏感に反応して抑えられない。  吸われて、舌で転がされて、甘く噛まれて、労るようにまた舐められて、どうしようもなく乱れてしまって、下半身に熱が溜まっていく。  もどかしくて無意識に腰を揺らしたら、ゴリッと硬いものが太ももにあたった。 「あっ……」  それは勇者の昂ぶった物で、ズボン越しにもわかるほどギンギンに張り詰めている。  ほしい  それが欲しい  頭が知らない思考に支配されていく。  
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