2.淫魔の前に高校男子だから

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2.淫魔の前に高校男子だから

  「……っ」  知らぬ間に太ももを擦り付けていた。  そんな俺の行動に勇者が息を呑むのが分かった。  俺の胸から顔を上げた勇者に俺から口付ける。  擦り付ける太ももはそのままに、首に腕を回し抱きつくようにしながら角度を変えて何度もキスをした。  ねぇちょーだい、とねだるように。 「んグぅッ……!」  元々荒かった勇者の息が更に激しくなり熱烈な口付けを返された。  それと同時に肛門、淫魔の俺にとっての性器に指を勢いよく入れられ、背中がのけぞる。 「んぁっ……! 待って……激しっ、ひぁんっ!!」  すぐに二本目の指も入ってきて好き勝手かき回されるが、すでに濡れていたそこは痛みより快感を拾っていく。  しかし前世の記憶が快感だけでなく恐怖も呼び起こした。  だってそこはそんな事に使う所じゃないだろ!  そのまま淫魔としての本能に流されてれば楽だったのだろうが、日本人高校男子としての記憶が抵抗する。 「や、やだっ、待って、やめっ……!」  体格差のある勇者からしたら笑えるような抵抗しか出来ないが、それでも勇者は一旦うごきを止めてくれた。  指は入ったままだけど。 「はぁっ……焦らしてるのか? ここまできて何て淫魔だっ」 「ち、違う……だって、怖いし……」 「何が怖い? お前が望んでいた事だろう?」 「あっ、や、や……動かさないで……っ」  また緩く指を動かされると簡単に体が跳ねてしまう。  淫魔の本能だけでは処理できない感情にボロボロと涙が溢れた。 「なっ!? ほ、ホントに嫌なのか!? 私が欲しいんじゃないのか!」 「だっ、だって、したこと無いしっ、欲しいけど……やっぱり怖い……!」 「っ!!」  やわやわと挑発するように動かされていた指の動きがピタリと止まった。ついでに勇者のあんなに荒かった呼吸も止まってない?  どうしたのだろうと思ったら、ふー……と長い息を吐いた。ため息と言うより爆破を抑えるためのガス抜きのようだった。 「そうか………初めてか………。私が、初めての……」  吐き終えて静まっていたはずの勇者の呼吸が再びだんだんと荒くなる。何これ怖い。 「ふぎゃっ!」  変な叫び声が出たのは許して欲しい。  だっていきなり体をひっくり返されたんだびっくりしてこんな声も出ちゃうだろ。  何すんだと抗議の声を上げる前に上から覆いかぶされて、また体が恐怖で硬直する。  いよいよ殺されるのだろうか。  逃げようにも恐怖で体は動かないし、たとえ動いたとしても大きな体ですっぽり捕らえられていては逃げるなんて不可能だ。  嫌だ、怖い、助けて……と体を震わせていたら、肛門に熱くて硬いものが添えられた。  それが何かは瞬時に分かった。 「ひっ……──あぁぁぁぁああっ!!」  分かったと同時に挿れられた。 「ひぁっ、や、やぁっ!」 「大丈夫だ、怖くない……全て私に任せておけ。初めてならこの体勢のほうが楽だろう?」  楽だろうと言われても十分衝撃が凄い。  正面から足を広げて受け入れるよりは楽なのかもしれないが、童貞処女の俺にはどちらにしても衝撃的すぎる。 「しっかり呼吸をして……力を抜くんだ。淫魔のお前ならすぐに私の物も馴染むはずだっ」 「はっ、はぁ……あぅ……」  一気に根元まで挿れられて苦しかった筈なのに、勇者の言うとおり直ぐに快楽を拾い出して自然と腰が揺れてしまう。 「はっ……いい子だ……気持ちいいか?」 「ん、き……きもちいい……ぁんっ!」  勇者の声に余裕が無くなっていくのが分かったが、そんな事を気にしている余裕は俺には無い。  ただ勇者の言葉に素直に答えて与えられる快感に身を任せていたら、腰を大きくグラインドされて高い声が漏れてしまった。  その声でタガが外れたように勇者の腰使いが激しくなった。突然強すぎる刺激を叩きつけられて甘い声がひっきりなしに出てまともに呼吸できない。 「あぁっ! やぁ! あ、あ、あぁんっ!!」 「ぐっ! くそ……やはり抑えがきかん……っ。お前の魅了の力は強すぎるっ!」  先程から魅了の力と言われているが、俺は魅了を使った覚えは無い。しかしまだ生まれたての未熟な淫魔だから上手く魅了がコントロール出来ていないのかもしれない。  ならばこんなに我を忘れたように俺を求めるのは仕方ないのかもしれないが、いくらなんでも激しすぎる。  いくら気持ち良くても、強すぎる快感は苦しいのだと知った。  
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