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5.魅了が制限できない
「さてユウ、腹が減っただろう」
宿屋に着いたとたんライトから言われて、俺は自分の腹具合を確認する。
「いや、まだそこまで……」
「ダメだ、限界まで空腹を待っていては危険だ。もし我慢できなくなって他人を襲ってしまってからでは遅いからな」
「うん、まぁ、そっか」
ライトの言い分はもっともだと思う。
真剣な顔で諭すライトにうなずけば、ライトは青い瞳を細めた。柔らかく笑うその様はやはりイケメンで、時々見惚れてしまう。
ただすぐに我にかえるのは、ライトの怪しい動きのせいである。
さっそく俺の尻を揉みだすライトが、イケメンからとたんにセクハラオヤジに見えてしまうのだ。いちいち揉むなよ。
それに優しくほほえんでいるはずなのに、段々と鼻息が荒くなってきて正直怖い。
思わず後退れば、当然のようにライトも俺に迫ってきて、気がつけば壁に追い込まれていた。
「あ、あ、あのさ、先に風呂とか入らね? 俺汗かいたし」
「必要ない。ユウは汗もいい香りだ」
「ンな訳ねーじゃん!」
「気になるなら洗浄魔法をかけてやる」
「うぅー……」
最近俺をすみに追いやって捕まえるのがお気に入りらしいライトが、逃げられない俺の頬を優しく撫でる。ちなみに尻は揉んだままだ。
「ん……っ」
ライトの手が髪に移り、角の付け根をマッサージするように触られた。
そこを触られるとくすぐったくて身をよじるが、なぜかそうすると益々ライトの鼻息が荒くなる。
「なぁ、なんか鼻息が怖いんだけど」
「ユウの魅了がだだ漏れているから仕方ないだろう」
「じゃあ仕方ないか……」
自分の能力もまともに制御できない自分が悪い。だから鼻息荒く迫ってくるライトは悪くない。
分かっちゃいるが、やっぱりこえーよ。
角の付け根を撫でられながら、ライトの顔が近づいてきたら条件反射で俺も上を向く。
「ふ、んぅ……」
柔らかな唇を感じ取ったとたん、つい口を開いて期待してしまう。
すると期待通りに、ライトの舌が侵入してきて、やわく俺の唇を吸う。
「ふぁ、ん、ぁ……」
ライトが俺の唇を貪れば貪るほど、濃厚な甘みが俺に流れ込んでくる。
前世から甘い物は特に好きでは無かったはずなのに、ライトから与えられる甘味はおねだりしたくなるほど美味しくてしかたない。
ライトの舌を追って夢中で味わえば、ライトは指が食い込むほど俺の尻を強く握る。
甘くて美味しくて気持ちよくて、けれどその気持ちよさが少し苦しくて怖くて、でも止められない。
俺が必死に味わうのと同じぐらい、いや更に激しく、ライトは何度も角度を変えて口づけてくる。
「……っふぁ」
ようやく唇が離れた頃にはもうへろへろで、そんな俺の唾液で濡れた顎をライトは舐めとる。そして強く抱きしめたかと思えば、今度は首筋に顔を埋めると、強く吸い付いてくる。
「んあっ! だめっ、ら、ライトぉ……っ」
体が甘く痺れてへたりこみそうになる俺をライトが抱きしめ支える。
するとゴリッと太ももに感じる固いモノ。俺が魅了をまともに制限できないせいだ。
ごめん、ホントに申し訳ない。そう思いながらも俺の服を脱がそうとするライトを必死で止めた。
抵抗する俺に、ライトは顔をあげて苦しそうな息を吐きながら俺を見る。
その顔は今すぐにでも食らいつきたいのだと訴えていて、野獣のような雄の顔にクラクラした。
「ユウ……っ」
「んっ! あ、待って……」
「待てないっ」
「ひぁっ!」
固くなったモノをわざと俺のモノに擦りつけて、親指は服の上から胸の先を刺激する。
先の快感を期待した体がふるりと震えるが、俺は理性をかき集めてまた口づけようとしたライトの唇にそっと手を当てた。
「お、ねがい……ベッドが、良い……──」
まばたきをした瞬間、俺はベッドに押し倒されていた。血走った目をしたライトに。
だからこえーよお前!
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