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6.ライト、反省する
電光石火の早業に唖然としたら、更に服を脱がされている事に気づく。
「だからいつの間……っ、んぁっ!」
あらわになった素肌に吸いつかれ、もうライトの性急さに驚いている間なんて無かった。
「らい、と、ちょっと、怖いからっ、」
「はぁっ、大丈夫だ……」
「何が大丈夫なんだよ!?」
もう数回肌を合わせているが、俺は淫魔だというのに一向に慣れない。
たぶん俺の方からライトを誘うのが関係としては正しい。なのにいつも魅了に当てられたライトから迫られてたじろいでしまう自分がいる。
淫魔の本能に流されてしまえば楽なのに、前世の記憶があるってやっかいだな。
「ぅあっ、ひっ、あっ」
胸の先をライトが水音を立てながらむしゃぶるから、無意識に腰が浮いてしまう。
そんな物欲しそうに揺れる俺のモノを、ライトの大きな手のひらが捕えた。
「あっ! や、ライトそれダメ……っ、すぐ、出ちゃう……っ」
胸を貪ったまま、ライトの手は俺の竿部分を扱きながらも器用に親指で先端もイジる。
敏感な所を同時に攻められてどこが気持ちいいのかも分からず体がビクビクと跳ねた。
もうイクッ、と訪れるはずの快感に息を止めた時だ。
「ん……っ、ふ、ぁ……?」
寸前の所で手を離され、思わず物欲しげな声を出してしまう。
なんで? と言うように見上げると、ライトも俺を見ていた。それはもう、恐ろしいほど血走った目で。
「ひっ」
中途半端になった熱が下半身に集まってもどかしかった筈なのに、一週間おあずけをくらった野獣のようなライトを目の当たりにして、一瞬で色んな所が縮こまった。
飢えたヒグマの檻に放り込まれたウサギの気分だ。
俺が何も言えずに固まっている間に、ライトは苦しそうだった前をくつろげる。
ブルンッと勢いよく出てきたモノは、恐ろしい野獣にふさわしいほど恐ろしくなっていた。
やばい怖い。
頭のすみで「美味しそう」と考える淫魔の自分が居るが、それより怖いが勝ってしまう。淫魔の本能、たのむ今はもっと仕事してくれ。
「はぁ、はぁ、ユウ……一緒に、気持ちよくなろうな?」
「あぅっ、あ、あ、あっ」
今にも爆発しそうな危険物を抱えているくせに、ライトはすぐにはいたさなかった。
はぁはぁ言いながらも口づけて、俺の尻の柔らかさを楽しむように数回揉む。
そしてゆっくり穴の縁をなぞり、その指先がつぷんと中に入ってくる。
「ん、んふ……」
舌が絡み合うキスをしながら、俺はお尻の穴でライトの長い指を感じ取る。
本来ならば淫魔の俺に慣らしなんて必要ない。もっと言えば前戯だって不要だ。
有り体に言ってしまえば、俺は精力が欲しいだけだから挿れて出してもらえば良いだけなんだ。
なのに、何度説明してもライトは必ずしつこいほど愛撫するし、穴もトロトロになるまでイジってくる。
俺の制御できない魅了のせいでライトも辛いだろうに、それでもかたくなに止めようとしない。
「ん、んんーっ!」
中に入ってる指が二本になって、ぐちゅっと音がした。唇が強く押し付けられ、ライトの唾液が流れ込んでくる。
俺は夢中でそれを飲みほし、ついもっと……とライトの舌を追ってしまう。
するとライトが嬉しそうにまた舌を絡ませてくれるから、俺はそれに甘えてしがみつく。
そして気がつけば、指は三本に増えてグジュグジュといやらしい音を立てながら俺の中を激しく犯していた。
「んあ……んんっ! ~~ッ」
我慢できずに出た喘ぎ声はライトの唇に奪われる。
気持ちいい、苦しい、もっと欲しい。
色んな思考がごちゃまぜになって、俺の腰は物欲しそうに揺れていた。
やっと唇を離され、互いを銀の糸が伝ってプツリと切れる。荒い息が混ざり合う。
もうすでに与えられすぎた快楽にぐったりする俺を、ライトが優しくて撫でてくれる。
涙でぼやける視界には相変わらず恐ろしい目をしたライトが映るけれど、もう怖いとは思わなかった。
だってこんなにも苦しそうにしながらも、我慢しようとするんだもんな。
だからどんどん俺の方が我慢できなくなってしまうんだ。
「らいとぉ……」
グズグズにとろけた穴を、今もなお刺激するライト。
俺が自分でも引くぐらい甘えた声で名を呼ぶと、ライトがゴクリと喉を鳴らした。
俺はライトの手にそっと自分の手を添えれば、動きが止まる。そして何かを期待するように、ライトがジッと俺を見つめた。
「も、欲しいよぉ……」
「……ンぐッ、承知した……っ!!」
それからはまぁ早かった。
がばりと足を広げられて、なんの躊躇もなくズドンだ。
「──……ッ!!」
ビクビク脈打つ凶悪なモノに貫かれて、俺の寸止めされていた物が弾けた。
あまりの衝撃に声にならない喘ぎ声を上げて、喉を反らせつま先が痙攣する。
ハッ、ハッ、と浅くて速い呼吸を繰り返す俺だったが、ライトは容赦なく腰を振り始めた。
「あ゛っ、まっ、ぅあ゛ッ」
達したばかりだというのに激しいピストン運動が始まってしまい、逃したい快感が逃がせず苦しい。
「ユウ、ユウ、ゆう──っ!」
「~~ッ!」
ライトが俺を見ているのは分かるが、俺は取り繕う余裕なんて微塵も無い。
達した陰部がライトの動きに合わせてペチペチ揺れ、プシュッと透明の液を小刻みに吹き出していた。
「あぁ、ユウ……可愛い。可愛いな……っ」
愛おしそうに呟きながら何度もキスしてくるライトだが、その間も動きを止めないからたまったもんじゃない。
口の端からは飲み込めなかった唾液が流れ落ち、焦点の合わない目で激しく揺れる天井を見つめるしかないのだ。
「んあっ! あっ! やめ、らいっ、トぶっ、トぶからァッ!!」
最高潮から降りられない快楽に、体も頭も限界だった。
それでもライトは止まらず、俺の首筋や胸元へ噛み付きながら激しく腰を打ち付けていた。
ライトのカリが中の快感部を容赦なく擦り、すがるようにしがみつけば、同時に穴にも力が入ってしまう。
「うっ……くぅっ」
刹那、俺の中を熱くて濃厚な液体が満たした。
熱いうめき声と共に勢いよく出されたモノを、俺の体は歓喜して受け止める。
「あ、あ……すご、おいしい……」
ぐっ、ぐっ、と腰を押し付け中に自分の物を残そうとするライト。
思考があやふやになった俺は、自分が何を呟いてたいるのかも分からなかった。
ただ、美味しくて美味しくて……
回数を重ねるごとに甘くなっているのは気のせいだろうか。
足がまともに力が入らないから、代わりに細い尻尾をライトに絡ませて美味しい余韻を味わう。
呼吸の妨げにならない程度に何度もキスを落とされ、優しく髪をすかれて心地よい。
この心地よさのまま眠ってしまいたい。そう思った時だ。
「……まだ、足りないのだろう……?」
「……──へ? ひぐ……っ」
なんかとんでもない事を言ったかと思ったら、ライトは力強く俺を抱き起こした。予期せず対面座位の体勢になり、自重で更に深くまで入り込んで目の前がチカチカした。
「ふ、深……ッ」
とっさにライトの首にしがみつくと、ライトは嬉しそうに笑う。
「そんなに魅了を使って……私が欲しいならいくらでもあげよう」
「へぁ!? ち、違……っ、あぅっ」
俺を突き刺すモノはしっかり固さを取り戻し、太い腕がゆさゆさと俺を揺する。
うっとり俺を見つめるライトの瞳は熱がこもり、確かに俺に惹きつけられているようだった。
あぁまた、無意識に魅了を使ってしまったのか。そう反省しても、今更魅了を止める術もライトを止める術も持たない俺は、されるがままライトの精力を受け止め続けた。
飲み干せなくなった白濁が尻から溢れ出るまで、何度も何度も……
* * *
翌日、俺は昼間にも関わらずベッドで寝ていた。
そばには心配そうにしているライトと魔物使いのヴァロ。
そして俺の体に手を当てて目を閉じる魔法使いのルミナ。
ルミナは医療の知識もあるようで、体調をくずした俺を診てくれている。
ルミナの魔力が全身を巡る感覚が消え、同時にルミナはそっと目を開いた。どうやら診療が終わったらしい。
「ルミナ! ユウは大丈夫なのか!?」
終わるや否、ライトがルミナに詰め寄る。
俺はそんなライトに心配させてしまって申し訳ない気持ちが募る。
しかし、ルミナは詰め寄ってきたライトの頭をスパンッと叩いたじゃないか。
「ルミナ!?」
「えっ、ルミナさん?」
俺とヴァロは驚いてルミナの名を呼び、叩かれたライトは目を丸くする。
しかしルミナは構わず腕を組み、ライトを睨みつけながら診察結果を口にした。
「過食症状と過度な疲労よ」
「……え」
そこで発せられたルミナの言葉に、ライトが固まる。そんな固まったライトをルミナは睨み続けて問う。
「心当たりは?」
「……」
「あ る の ね ?」
「……はい」
力なく答えるライトに、呆れたようにため息を吐くルミナ。
そんなルミナにライトは、
「だが……ユウの魅了が強すぎてだな──」
と言い訳をしようとした。しかしライトが言い終える前に、
「ユウがまだ魅了を制御できないならアンタがしっかりするしか無いでしょ! それとも魅了されないように接触禁止令を出しましょうか?」
と、一喝され、ライトは再びうなだれてしまった。
「わ、私が我慢する……出来る限り」
「出来る限りじゃダメ」
「我慢します……」
叱られるライトが少し哀れだったが、実際俺はヤりすぎで寝込んでいるわけである。
だから俺のせいで申し訳ないと思いながらも、今は黙って二人の成り行きを見守る事にした。
「そもそも“魅了”なんですかね……」
ボソリと呟いたヴァロの言葉は、誰に聞かれるでも無く消えていった。
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