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「やっと探し出したぞ。俺はイエティ。ニッポンではユキオトコと呼ばれている存在だ。はるばるヒマラヤの山中から、あんたを嫁にもらいにやってきた……ユキオンナさん、俺と結婚してくれ!」
「えっ…!」
自己紹介するやいなやの突然のプロポーズ……雪女は唖然と立ち尽くし、思わず蒼白き頬を赤らめてしまう。
だが、彼女を真っ直ぐに見つめるその瞳はけして嘘を吐くようには……否、嘘を吐くことなどできないような純真そのものの輝きを放っている。
それに、この生身の人間では耐えられないような低温の吹雪の中でも平気で立っていられる肉体の頑強さ……図らずも彼女が望んでいた条件にぴたりと合致する男性だ。
「はい……」
気がつくと、彼女は伏せ目がちにもじもじと身体を捩りながら、そうイエティの言葉に答えていた──。
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