1動物

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 翌日、サバンナの奥地で「動物会議」が開かれた。 「みんな、よく集まってくれた。今回の問題は、灰色の国からやってきた密猟者についてだ。誰か、意見は?」  たくさんの手が挙がった。 「はい、サイさん」  ベニハチクイが指名する。 「ハイ。ボクは、密猟軍に立ち向かうべきと思うゾ。追い払えば、きっともう来なくなるゾ」 「どうもありがとう。ほかにいますか?」  また、手が挙がった。 「はい、セイキチョウさん」 「はい。サイさんへの反論だけど、いいですか?」  ちらりとライオンを見るセイキチョウ。 「よい。意見ならなんでも大歓迎だ」 「よかった。では始めます。サイさんの主張もよくわかりますが、それはチーターさんやライオンさんなど、強い方でないと無理です。それに、追い払おうとしても、銃で撃たれてはひとたまりもありません。なので、その計画はやめた方が良いと思います」  ぱちぱちと拍手が起こる。 「ほかに」 「ハイ」 「チンパンジーさん、どうぞ」 「逃げるんです!一番安全。人間の気配を感じたらすぐに逃げるとか」  みんながなるほど、と頷く。 「ハイ」 「アカシカさん、どうぞ」 「前みたいにデモを起こすのは……」 「いや、観光地に設定すれば……」 「そんなことをしたらゴミが増える!」 「法律を作らせれば!」  みんながうるさく言いあう中、ライオンは言った。 「静まれ。よいことをおもいついたぞ」  いたずらっ子のように、ライオンがにやりと笑みを浮かべた。
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