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唯一自由になる金を、自分のためでなく静のために使った。
叔父のようでありたいと、優一は叔父の葬儀で思った。
静があの手作りの薔薇を棺に入れようとしたのを、キララがはたき落とした。
「そんなゴミ棺桶に入れないでよ。バカなんじゃない」
踏みつけられてグシャグシャになった紙の薔薇を握って、静は黙ってうつむいていた。
静の悲しそうな姿がずっと、忘れられなかった。
叶うなら生きて静を見守りたかったと、叔父が泣いた姿が忘れられなかった。
だから、今年の正月の集まりで、バカ笑いしながら静を蔑む叔母とキララに対して、我慢の限界に達した。
「出ていった嫁の代わりに、静を家政婦として僕にくれないか。今日中に婚姻届にサインさせることができるなら百万円くれてやる」
この悪魔どもから静を引き離せるなら、借金してでも百万円作って、払ってやる。
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