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「も、もしかして普通の女の子って、こういうときヤキモチを焼くものですか。もらっちゃダメって言ったほうがいい?」
静がハッとしてうろたえだす。
「いや、人によるんじゃないかな」
「そっか、そうですよね。よかった」
胸をなでおろして、改めて優一に聞いてくる。
「実は好きな人にバレンタインの贈り物をするって初めてで。だから何が正解なのかわからないんです。手作りはよほど腕が良くないと好まれないとも聞きますし」
「静が作ってくれるならなんだって美味しいよ。昨日のオムライスだってレストランで出てきてもおかしくなかったもの。中のチキンライスだってちょうどいいケチャップの具合で。また食べたいな」
「ふふふ。それじゃあ、バレンタインは贈り物以外にオムライスを作りましょうか」
「毎日でもいいんだよ。手作りプリンをつけてくれたらもっと嬉しいな」
優一はわりと本気で言っている。
最初の頃はたまごが特別好きなわけじゃない、なんて言い訳をしていたけれど、本当は大好きだ。
高校のときにさんざんクラスメートに「プリンやオムライスが好きなんてお子ちゃまみたいだな」と馬鹿にされて以来、人前では隠すようにしていた。
静は馬鹿にしないし、むしろ体調を気づかてくれる。そんなところがかわいい。
「さすがにオムライスとプリン同時はたまごの食べ過ぎですよー。せめてプリンは翌日にしてください」
「じゃあ次の日にプリン。約束ね」
「はい。約束です」
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