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指切りげんまんして、静がバレンタインギフト選びを再開する。
考えた末、雑貨にするようだ。
「届くまでに一週間かかるけれど、名入れもできるってポスターに書いてあるから、これ、どうかなって思うんですけど」
静が並んでいたサンプルから選んだのは、重厚なデザインのボールペンだった。マットな深いネイビーで、ピンのデザインも気品が漂う。程よい重さがあって書き味も手触りも抜群。
値札を見てびっくりしてしまった。五千円。海外の老舗文具ブランドの逸品だった。
「いいの? こんなに良い物」
「ほら、優一さんは仕事でパソコンの業務以外にも、書類を書くような事務作業も多いでしょう。このペンなら持ちやすくて書きやすい、負担にならないものがあったらいいかなと思ったんです。昔、お父さんが言っていたの。このブランドのペンは、大切にしていけば十年以上使えるんだって」
これまで優一は文具にこだわりがなく、コンビニで売っているような三百円前後のボールペンで済ませていた。失くしてもまたそこら辺で買えばいいやというくらい。
ここまで優一の為を思って選んでくれたものだから、大切にしないとという気持ちになる。
そういえば、就職したての頃は先輩にいわれたものだ。
文具は長年愛用できるいいものを選べ、人に見られる職業は、持ち物にも気を使うべきなのだと。
優一の記憶では、叔父の実は営業事務をしていた。
だからそれを受け継いだ静も、優一にいいペンを贈ろうと考えた。
静は店員に声をかけ、名入れとギフト包装の依頼をして、戻ってくる。
「バレンタイン前には受け取れるんですって。楽しみにしていましょう」
「ありがとう。待ち遠しいね」
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