新婚旅行初日、予想外の再会

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新婚旅行初日、予想外の再会

 二月の中旬。静と優一は新婚旅行に来ていた。  旅館のチェックインは午後三時。それまでは旅先の近隣を探索する。  寺院や公園といろいろまわるだけであっという間に時間が過ぎる。  そろそろお昼を食べようかという話になって、駅前の喫茶店に入った。  木製のテーブルセットが並ぶ店内は落ち着いた雰囲気で、メニューも古き良き昭和レトロな喫茶店といった感じだ。  静はあんみつセットを、優一はホットケーキセットを選んだ。 「初めて来るのに、なんだか懐かしい感じがするね」 「うん。すごく好き。おじいちゃんとおばあちゃんとも来てみたいね」  運ばれてきたコーヒーの香りも良くて、自然と笑顔になってしまう。  祖父はつい先日無事に退院した。静と優一は、先週その復帰お祝いをしに行った。  一緒にご飯を食べて、そのとき、昔話をたくさんしてくれた。  祖父母は結婚したての頃、二人で喫茶店巡りをするのが趣味だったそうだ。  店ごとにコーヒーのブレンドは違うし、トーストも自家製パンなら全然違う風味になる。  特に好きなメニューがナポリタンだそうだ。 「いいね。今度一緒に来よう。きっと喜ぶよ」
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