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「それじゃあ嬢ちゃん、さっそくお主の――」
「――あっ、ちょっと待ってください」
「ん? どうしたんじゃ?」
手元の式盤に手を添えつつ話す占い師さんに被せる形で、不意に制止の声を掛ける藤島さん。ちなみに式盤とは、天盤と呼ばれる円形の盤と、地盤と呼ばれる方形の盤を組み合わせたもので、主に平安時代から鎌倉時代の陰陽道にて使用されていたという。
まあ、それはともあれ……いったい、どうしたんだろ藤島さん。まだ、心の準備ができていなかったとか――
「……その、私ではなく……他の人の未来を占って頂くことは可能ですか? 例えば、その……私の、好きな人とか」
「…………へっ?」
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