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「……好きな人、じゃと?」
「あっ、えっと……駄目、ですか? その……以前友達が、ここで彼氏のことを占ってもらったって言っていたので……」
「けっ、どいつもこいつも色恋に浮かれおって」
藤島さんの問い掛けに、吐き捨てるように毒づく占い師さん。……えっと、ひょっとして過去に何かあったのかな?
まあ、それはともあれ……そっか、好きな人がいたんだ、藤島さん。まあ、別に驚くことでもないけども。
とは言え……やっぱり、全く気にならないと言えば嘘になってしまうわけで。いったい、どんな人なのかな? 大学? 職場? それとも――
ただ、いずれにせよ……だとしたら、今こうして僕といて良いのだろうか。もちろん、現時点でお付き合いしているわけでなければ何の問題にもならないだろう。
ただ……万が一にも、こうして僕と二人でいるところを見られようものなら、やはり誤解を招く可能性は否めないわけで。もちろん、僕なんかが彼女に釣り合うなんて微塵も思っていない。いないけども……それでも、状況が状況なだけに、そういう解釈を受ける可能性も皆無ではなく――
……まあ、でも心配ないのかな? こうして僕と一緒にいるのは、きっと彼女自身の意思――だとしたら、恐らくはそういったリスクなど皆無だと判断してのことだろうし。
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