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「ありがとうございます。じゃあ、アラームを午前0時にセットしてください。シンデレラと一緒、午前0時で魔法が解けます」
言われるがままに、午前0時にアラームをセットした。
「よろしい。では私の指先を見て」
輪島さんはまたパンっと小さな音を立てて合掌した。僕は人差し指と中指を吸い込まれるように見つめた。指先が、僕の方に向いた。
「今から私があなたの耳に壁を作ります。あなたの耳は、あなたが聞きたくない音をシャットアウトします。ほら、私の指先からレンガが飛んでいきますよ。あなたの耳に壁ができます。あなたの耳は、聞きたくない音が聞こえなくなります。」
僕は輪島さんの指先から目が離せなくなった。
また、輪島さんが手を叩いた。
ハッと我に返った。
「昼休みが終わりました。皆さん帰ってきましたよ。仕事に戻りましょう」
オフィスにはいつの間にか喧騒が戻ってきていた。僕はあわてて自分のデスクに戻った。
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