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ここはどこ…
目の前には、自宅ではない天井は広がっている。見覚えのない天井に智里は記憶の中をたどろうとする。
わからない
その結論に今度は周りを見ようと首を動かそうとするが…動かない。
無理にでも動かそうとすると、全身に激痛が走り、智里は顔をゆがめる。
誰か、誰か…
声も出ない。
私どうなっているの?
智里はパニックになりかけている自分に気がつくと、今度は一気に冷静さを取り戻した。
規則的な音と特有のにおいがする。
ここは病院なの…?智里は必死で何があったのか、思い出そうとした。
「木下さん、木下千里さん。目が覚めましたか?」
優しそうな丸い笑顔の看護師さんが智里を覗き込む。
はい
声は出ないが唇の動きで智里の言いたいことはなんとか伝わったようだ。
「先生を呼んできますね、あとお母さまが木下さんが目を覚ますのを廊下でずっと待ってらっしゃいますよ。」
そう言うと、足早に部屋を出ていく。
部屋のすぐ外にいたのであろう智里の母親が、看護師と入れ替わりに部屋へと入ってきた。
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