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次の日も昼の面会時間に母が来た。
昨日よりは少し顔色もよさそうだ。
春馬が夜来てくれたことを話そうと口を動かすと、『無理に話さなくていいから』と穏やかに言われる。
そして夕方になるとまた母は帰って行った。
春馬はいつ来るのかな?昨日聞いておけばよかったな、声は出ないけど。
体は動かない、話せない、あちこち痛い…で、気持ちが滅入ってしまう。
しばらくしてまた自然と目を閉じ眠ってしまった。
春馬が来たら起こしてくれるだろうと思って…
目が覚めると、もう夜だった。
暗いな…と思っているとベッドサイドに人影が。春馬が小さな丸いイスに座って私を見ていた。
来てたんだ…起こしてくれたらよかったのに…そう思っていると
『智里の寝顔を見ていたかったからね』
と晴馬が笑った。
それが私の一番好きな目をゆっくり細めて少し顔を右に傾けた笑顔で、何度見てもドキッとする。
『昨日より元気そうだ。よかった。』
うん、昨日より少し元気になった気がする、だってはやく春馬との家に帰りたいから。
そう言って少しだけ動く右手を動かすと、春馬が私の手を握ってくれた。少し冷たい、大きな手。
今日も30分ほど話して、春馬は帰って行った。
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