知らない顔

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知らない顔

 四年半付き合った彼女がいた。 2人とも30歳前で、そろそろ結婚の話しもという時期だった。  会社帰りにお互いの近くの私鉄の駅で待ち合わせ、鰻の美味しい店に行った。  うなぎのコースも終わりかけ、わたしが上がりビールを頼み、彼女がほうじ茶を頼んだ頃、六十くらいのおじさん2人が私たちのテーブルの向かいに座り、横柄な様子で店員さんにオーダーをしている。  早く帰ろうと思って、会計をしようとしたが、向かいの偉そうなおじさんがぼくの彼女をじっと見ている。  まあ、人目を引く方なので、あまりにも目にあまれば、注意をしようと思った。  しかし、そのおじさんははわたしの彼女をじっと15分も見つめたままだった。  何も聞かずにわたしは帰った。  
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