独身の私の休日の朝

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独身の私の休日の朝

休日の朝、なんとか布団から起き上がる。 冬の朝は普段以上に起きるのに時間がかかる。 部屋着にしているフリースを取り出して、もこもこ靴下を履く。 コーヒを飲むためにお湯を沸かしている間に、化粧水をつける。 ドラックストアで買った安い大容量のものだ。 だから、節約するつもりもなく適当にびしゃびしゃ顔に塗りたぐる。 クリームを塗って、百均の手鏡で自分の顔を見る。 思春期の頃からコンプレックスの団子っ鼻。 毛穴。 目の下のくま。 …そういったがっかりする現実にはもう慣れてしまった。 31歳なんだから。 今さら中学生の頃みたいに、自分の顔にいちいち悲観したりするつもりない。 それでも今朝、私は自分の老いを感じずにはいられなかった。 ほうれい線を見つけたから。 あれ?こんな風に私の頬は垂れていたってけ? ああ、これがほうれい線なんだ。 これからは「大して可愛くない冴えない私」に加えて、「おばさんと呼ばれる私」も加わるのか。 そう思うと無性にむなしくなった。 私は「美しい女」であったことがあったのだろうか? 1人で暮らす2DKの部屋は日当たりが良く気に入っている。仕事もストレスはあれど上手くやっている。恋人がいないことは悩みのひとつだけど、私はそれなりに自分の人生を幸せに過ごしていると思っている。 でも今までの人生で女としてキラキラ輝いたことなんてなかった。 朝の清々しさがどんよりとした重たい気持ちに支配されていく。 私は美しい女になる努力をすべきなんじゃないか? 自分自身のために。 そんな気持ちが胸に湧いた。
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