自分のために恋をする

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自分のために恋をする

マッチングアプリで知り合った男性と食事に行くことになった。 33歳、システムエンジニアということだ。 金曜日は鈴音が誘ってくれた合コンがあるので、週末を希望すると伝えたら平日の方が都合が良いと言われた。 恋愛に慣れていない私でもこの返事には違和感があった。 土日に先約があって平日しか会えないだなんて、よっぽどの遊び人、恋人がいる人、もしかしたら結婚をしている人なのかもしれない。 平日は難しいとお断りの連絡をしたら、日程を調整して土の夜に会うことになった。 合コンの翌日にまた別の男性と会うだなんて自分でも信じられない変化だ。 西野君のことがあったから、正直恋愛に対して怖い気持ちや不安な気持ちも増した。 このまま以前のように恋愛から遠ざかった地味な日々を送っても良いという思いもあったけど、鏡の中に映る自分が明らかに変化していることを感じたので、それを励みに前向きな気持ちをなんとか保てた。 恋をして運命の人に出逢いたい。 わけではない。 私が恋をしたいのだ。 恋愛を謳歌してみたい。 そう思ったら、なんだか自分の気持ちが軽くなる。 特定の特別な人を想って拒絶されることとはわけがちがうのだから。
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