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合コンの帰り道
初めての合コンの帰り道。
私は惨めな気持ちでいっぱいだった。
とにかく話すことが出来なかったのだ。
テンポの良い会話についていけない。
ノリに合わせられない。
複数人での会話がこんなに難しいとは思わなかった。
会社から合コンの会場へは鈴音と一緒に向かった。
駅ビルの綺麗な化粧室で、メイク直しをした。
いつもとは違う色の口紅を鈴音は付け直す。
「佳花さんのそのセーター可愛いですよね。めっちゃ似合ってます。あれ、アイシャドウこれ使ってたんですか?人気みたいですよね。発色きれー」
そんな風に言われた。
鈴音は軽いノリだけど、嘘はつかない。
現に美容に目覚めるまでの私について外見で褒めることなんてなかった。
だからこそ鈴音の言葉が嬉しかった。
準備はきちんと出来ていたし、鈴音の友達と並んでもそんなにおかしくはなかったと思う。
それでも外見を磨くだけでは得られないモノの足りなささを感じた。
もっと明るい自分だったら良いのに…。
そんな風に思いながら帰路に着く。
ただ、家に帰ってスマホを見たらグループLINEで
今日のお礼が飛び交う中で、1人から直接LINEが来ていた。
隣に座っていた3つ年下の男性からだった。
「今日はお話出来て楽しかったです。良ければ今度は2人で食事でも!おやすみなさい」
女性全員に送っているのかもしれないと思ったが、こんな風に丁寧に扱ってくれることが嬉しかった。
山名 圭吾くん
少しほっとした気持ちで今日を終えることができた。
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