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彼との出会い
マッチングアプリで出会った男性との待ち合わせ場所に着くと、すぐ声をかけられた。
「佳花さんですか?」
私はグレイのジャケットを着ていることを伝えており、待っていた相手はすぐに私を見つけてくれたのだ。
私が頷くと、彼は「はじめまして、佐々木 浩一」と丁寧に言った。
彼は写真より少し太っていて、35歳の年齢が相応しい容姿をしていた。肌も少しくすんでいる。
ただ、特別おしゃれではないけど、真新しく小綺麗な服装や短く整えられた髪型は清潔感があった。
私たちは浩一さんが事前に予約をしてくれたテラスのあるイタリアンへ行った。秋の終わりの暮れ、テラス席で食事を楽しむ人たちもいだが、外は少し寒かったので、大きな窓の側の室内の席をお願いした。
「僕は学生の頃ダイビングのライセンスをとってですね…」
「今はほとんど自炊しないです。だから太っちゃって、夜は炭水化物を抜いているんです」
彼はメッセージでやりとりする時とは違ってたくさん会話をした。
少し自分勝手に話をしすぎなのではと思うほどだったが、昨日の合コンで全く会話が出来なかったからこれくらい自由な人の方が気楽だった。
趣味が忙しくて土日はなかなか時間が取れないとのことで、今日も昼間は出かけていたらしい。
「昼間はシュミレーションゴルフに友達と行って、本当は夕飯を一緒に食べる予定だったんですよ。あっでも、全然大丈夫。いつものメンバーだから」
そう笑って言う。
恋人は3年いないと言った。
話していることはどれも本当のことのようで、遊び人だと思って警戒していたが、どうやら女性関係はそんなに心配しなくても良さそうだった。
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