ほろほろと

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ほろほろと

山名君は私に触れる。 なんとなく距離が近い。 私の勘違いかもしれないけど。 トイレに席を立つ時に肩に触れる。 戻ってきたから足が当たる。 こんな風にサインをだすものかと感心してしまった。 そして、人の熱というものはどうしてこんなに魅力的なあたたかみがあるのだろう。 特に寂しかったり、自分に自信がなかったり、ぽっかり穴が空いている人ほど渇望するような気がする。 「また会いましょう」 山名君は子犬のような人懐っこい笑顔を向ける。 私はその日、お酒や楽しい会話による心地よい時間のおかげで上機嫌だった。 セックスはしなくてもなんとなく異性と距離を近づけて、甘え合う。 こんな風に楽しむ夜があることを知る。
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