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変化
「佳花さん、最近綺麗になりましたね」
4つ年下の同じ部署の後輩である田口鈴音がそう言う。
私たちは毎日社員食堂で一緒に昼食をとる。
私はお弁当で、鈴音はAランチを注文してテーブルで落ち合う。
女として美しくなってとろけるような恋愛がしたい。
そう決めてから2ヶ月が経つ。
「エステですか?もしかして美容医療とか?」
27歳の鈴音は屈託なく私にどんどん質問する。
「ありがとう。とりあえず生活習慣から変えたの」
お酒も控えて、基本自炊で栄養を考えるようにして、早く寝たり、休日にジムに行ったり」
「えーすごい!なんか肌とかめっちゃキレイですよ。うらやましい」
鈴音はそう言って、自分が美容のためにしていることをペラペラと話す。
使っている基礎化粧品は私なんかとは比べられないほど高く、最近美容医療についても調べていると話をした。
「佳花さん、薄化粧だからさらに垢抜けると思いますよ」
鈴音はチーズハンバーグを大きな一口で食べる。
食生活を意識するようになってから他人の食べてるものにも注意がいくようになった。鈴音はたいてい食後にデスクでお菓子をたべる。
まだ若い彼女だから大丈夫。
そう思うし、別にそれを咎めるつもりない。
むしろ、鈴音の話を聞いて自分自身の化粧品などを見直したいと思った。
「そういえば、購買部の噂聞きました?」
鈴音はさも楽しそうに会社の噂話をし始める。
あまり深く物事を考えない、悪く言えば浅はかな子であったけどその分素直で裏表がないから付き合いやすかった。
年の離れた妹がいるから歳下の方がずっと付き合いやすいのだ。
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