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ボロ雑巾のように疲れ切った彩香は、帰りの電車の中で何度もため息をついた。
ただ、この日、帰宅すると隆利はまだ帰っていなかった。昨日と同じく二十三時過ぎに帰宅したにもかかわらず、だ。
結局、この日、隆利は帰宅しなかったことが、翌朝判明した。
反町部長からの指示は相変わらず矢継ぎ早で圧が強かったが、昼休みになる前に「俺の仕事のやり方、どう思う」と聞いてきた。
「正直にいうと、結構大変です」
彩香は正直にこのときの気持ちを話した。不動産事業部の営業事務も時期によっては忙しかった。ただ、他にもメンバーはいたため、仕事の密度は今思えばそう高くなかったと思う。しかし、ここに来てからは、とにかく集中しなければならず、いや、そんなこと考えるまでもなく、そういう状態に置かれ続けることになり、気がつくと時間がずんずんと進んでいった。
(続く)
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