(二)

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 彩香は部屋の中を見渡しながら「わかりました」と答えた。  部屋は広くなかった。デスクを入れると、最大でも五人ほどしか入れないようなところだった。その中にいま部長のデスクと、何かの資料が入った段ボール箱数箱が積まれているだけだった。  十秒くらいだろうか、その場に立っていると、反町は「急いでくれ。君にやってもらいたいことがある」と彩香をせかしてきた。  彩香は「はい」と言って総務部に行くことにして、部屋を出た。  仕事を終えた彩香が自宅に戻ったときには時刻は二十三時を過ぎていた。  夫の隆利はすでに帰宅していた。帰宅後に夕食を取ったらしく、食事を終えた冷凍パスタの袋や皿やフォークがテーブルの上に置きっぱなしになっていた。 (続く)
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