第6章:決戦

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刺さった刃を引き抜き、後ろに下がる。 白い地面に赤い斑点が落ちる。 「俺の仲間を殺したの、お前だよな」 「そうだよ。何か問題があるか?」 僕の言葉で、額に青筋を立てる。 「ー話をしよう。ノア」 持っていた剣を雪に沈めた。 僕の行動が理解できない様子で、ノアは困惑の表情を浮かべる。 だがすぐに、殺意を込めた鋭い目に変わる。 「…俺は、お前に話すことはない」 再び刃を僕に向けて、距離を詰めてくる。 切り刻むような乱雑な攻撃を、丸腰で避け続ける。 聞く耳を持たないノアに、懲りずに話を続けた。 「なんで仲間が殺されたか、理由を考えたことはあるか?」 「知らねぇ。お前の気まぐれじゃないのか!」 「…じゃあ、聞き方を変えよう。  なんで僕がお前の仲間を殺したか、わかるか?」 その問いに、ピタリと動きを止める。 「俺が、憎くなったからだろ。  俺が居なかったから、腹いせに仲間を殺したんだろ!」 「違うな。お前が憎かったわけじゃない。  お前が居ても居なくても、あの場にいた奴らは全員殺していた。」 「ふざけたこと言ってんじゃねぇ!」 振りかぶった刃を、手のひらで受け止める。 「聞けよ、ノア。」 刃先を折る勢いで手に力を込める。 「僕は人間そのものが憎かった。  エルフを迫害するお前らが心底気持ち悪かった。」 ノア、お前はわかってない。 どうして僕が真実を話さないのか、どうして煽るような口を利くのか、 どうして剣を置いたのか。 僕はお前を殺せない。でも、お前も僕を殺せない。 本気で殺すつもりなら、今すぐ剣を振り下ろすはずだ。 そうしないのは、僅かでも僕に情が残っているからだろ? 「殺されるべきは人間だ。だから殺した。それだけだ。」 「それだけ、だと…?」 怒りに身体が震えているのがわかる。 「殺されるのが人間ならっ…お前だって人間だろ!!」 「そうだ。だからー」 僕の心臓を目掛けて、剣を突き出す。 僕はわざと、避けなかった。 「僕を殺せ、ノア」  
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