Xmas🎄KISS

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今日は、クリスマスイブだというのに、最悪だ。 彼氏の(かえで)とケンカしてしまった……。 楓は会社の同期で、ハッキリ言ってかなりのイケメンなので、モテる。 今日も、会社で、女子社員から、いっぱいクリスマスプレゼントをもらっていた。 あたしは、楓と付き合っていることは、会社の人には内緒にしているので、何も言えなかった。 でも、なんだか、とても、もやもやした気持ちのまま、会社が終わってから、クリスマス・デートをした。 「なんかさ、たくさん、プレゼントもらってたね」 「ああ。なんか、クリスマスは、みんな誰かにプレゼントをあげたくなるんだよ」 「……んじゃ、あたしにも、クリスマスプレゼントはもちろんくれるんだよね?」 「うん。もちろん」 そう言って、楓は、コートのポケットを探った。 「あれ? ……ごめん。忘れた……」 「えええーっ! うそ! マジで?」 「うん……。ごめん。今日、いつもと別のコートだから、前のコートに入れてた……」 「もう! しらない! 楓なんか!」 あたしは、プレゼントをもらえないよりも、楓が、他の女の人にモテる方が、気に入らなかったのだ。 あたしは、その勢いのまま、走って、家に帰ってしまった。 せっかく、クリスマスイブのロマンティックなデートになるはずだったのに……。 あたしは、悲しくなって、部屋で一人、泣いていた。 すると。 コン、コン。 ベランダに面した窓が、ノックされた。 ええっ! ふ、不審者?! あたしは、慄いて、窓の方を見た。 そこには、粉雪が降っている中、楓が寒そうに立っていた。 あたしは、慌てて窓を開けた。 「楓! どうしたの?」 楓は、寒さで、トナカイみたいな赤い鼻をして、言った。 「これ、クリスマス・プレゼント」 そう言って、手の平に乗るような小さな小箱を、さっきと違うコートのポケットから出した。 「……ありがとう。取りに戻ってくれたんだ。開けていい?」 「うん。もちろん」 あたしは、小箱のリボンを解いて、開けた。 そこには、あたしの一番欲しいものがあった。 綺麗な指輪だった。 「楓!」 あたしは、楓に抱き付いた。 楓も、あたしを抱き締めて、言った。 「僕と、結婚してください!」 あたしは、嬉しくて、泣きながら応えた。 「はい! もちろんです!」 そして、あたしたちは、家のベランダで、クリスマス・キスをした。 粉雪の中、あたしのところへやって来たのは、素敵なプレゼントを持った、この世で一番大好きなサンタクロースだった。 Merry🎄Xmas b6ce1fbd-cc2e-4af4-86db-4a824b0f040a
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