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私は唖然として言葉が出なかった。シュウジがはにかんだ。
「……びっくり、した?」
「そりゃ……するでしょ。仕事は?」
「今日は元々午前中で終わりなんだ」
「は? 意味わかんない」
「サプライズだよ、サプライズ!」
そう言うと、シュウジは後ろ手で隠していた花束と小さな箱を、私の顔の前に突き出してきた。
……いや、なんのサプライズよ。結婚記念日でもあるまいし。
呆気にとられる私を見て、シュウジが嬉しそうに言う。
「今日は記念日だよ」
「なんの?」
「付き合った記念日なんだよ!」
「ええ……なんで今更そんなの」
「まあまあ、とにかく寒いから中入ろう!」
シュウジは玄関に入ると、そそくさと革靴を脱ぎ捨てた。そしてリビングまで進むと、机の上に花束と小さな箱を置いた。
私は嘆息混じりに言う。
「もう、帰ってくるなら連絡しといてよ」
「連絡したら、家につくまでLINEしちゃうから、サプライズにならないだろ」
「私が送って終わるようにしてくれたらいいじゃん」
「いや、なんか癖で返したくなるんだよ」
「意味わかんない」
「でも俺をこうしたのはナオだからな?」
私は少しイラッとしたので若干の間を開けて訊き返す。
「……なんで?」
するとシュウジは決まり悪そうに下を向いた。
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