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シュウジのプラン
「……俺はさ、別に、送って終わりたい派じゃないんだよ」
「は? いやいや、送って終わりたいタイプでしょ?」
シュウジは照れくさそうに頭を振る。
「……違う。俺はただナオが好きなだけ。ナオとの連絡が、切れたくなかっただけだよ」
「え――」
――次の瞬間、私はシュウジの胸元に手繰り寄せられた。そして胸板と両腕に強く包まれた。
「ぐるじい」
「あ、ごめん。でも言った通りなんだ。ナオが自分で終わろうとして文章を切ってくると、なんかすごい不安になってさ。何とかして繋ごう繋ごうとしていたら、俺も送って終わりたい派に、なっちゃってた」
「……だとしても……もう結婚してるんだから、いいじゃん」
「いや。今でもそう思っちゃう。俺はナオが好きすぎる」
……私はこんな風に愛情表現が出来ない。だから素直にシュウジのことをすごいと思った。同時に、こんなに嬉しい気持ちなのに、私も同じようなことをシュウジに言ってあげられない、意地っ張りな自分が嫌になった。
「……それは、どうも」
「だからさ、俺ずっと考えてたんだよ、これをどうすべきかって」
「これ? どう……すべき?」
するとシュウジは私を解放し、先程置いた小さな箱を手に取った。
「これ見て」
「なに、ケーキ?」
「違うよ」
私は箱の中を覗き込んだ。そこには小さな靴が丁寧に梱包されていた。
「……くつ?」
「そう! 赤ちゃん用の靴!」
「誰の?」
「俺たちの、子供のだよ!」
そう言うと、シュウジは再び私の体を引き寄せた。
「俺、ナオのことが好きすぎる。だからナオと同じくらい大切な人が、子供がいてくれたら、ちょっとは落ち着くかなって思った。初めはそんな理由だったんだけどさ、考えてくうちに、子供がいたらこうかなとか、色々想像するようになっちゃって、もう抑えられなくなった」
「……それで?」
「俺、子供がほしい。ナオとの、子供がほしい」
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