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【真】
今までのあらまし。
奈良東大寺。
華厳宗総本山で開かれた例会の夜。
天台宗座主の華僑林 天膳が事故で死去。
後を託された娘、麗夜(レーヤ)は、浄土宗門主の娘 日下部 真理と、真言宗智山派座主の息子 神崎 鶴城の二人と契りを交わし、京都三十三間堂にて覚醒を果たした。
仏教界の権力者、高野真言宗座主の久我山 宗守。
真姫羅を遣って真言宗智山派総本山の知恩院と、浄土宗総本山の智積院を焼き払い、更には自宗総本山の高野山に、邪魔な上僧達を集めて焼き葬った。
しかしその直後の高野山で、指名手配中の魔女リドール・クラリスにより、真姫羅は惨殺される。
港区高輪の高野真言宗東京別院。
その宗務庁ビルでは、弟の久我山 将生が何者かに殺害され、後に就いた榊原 久遠は、翡翠を使って秘書の新月 結女への疑いと、真犯人を探らせる。
宗守は、天台宗座主代行の華僑林 蒼樹を同席させ、異例の記者会見を開くが、蒼樹はその場を利用して、宗守の悪業を公表した。
一方、ヒーラの指示で不知火 瑠奈、辻桐 宗馬、望奈萠 柊羅の3人は、警視庁刑事課の情報や、アメリカから入国した4人のカルト集団の重要人物、更には呪鬼と呼ばれる妖術師を調査する。
蒼樹の策略により、知恩院の屍人使いと公言されたレーヤは、真言豊山派の七山 佐介を身代わりにして警察の手を逃れる。
そして真理と鶴城を連れ、曹洞宗宗務長官、神巳沢 蘭のいる東京グランドホテルへ身を隠す。
そこで日下部 法成の死を知り、怒りに燃える真理に、幼馴染の枚方 陽平が呪鬼である疑いを告げた。
ヒルトン東京に現れた怪しい外国人4人。
そして華厳宗総本山 東大寺の住職、吉田 北西。
レーヤを助け、アメリカからリドール・クラリスを追って帰国した、魔女のKANNA。
浄土真宗に身を置く華柳 知念は、亡き友の為に曹洞宗の不正を暴かんとし、本願寺派浄土門主の枚方 朔也と共に上京。
双子の兄である曹洞宗宗務総長の華柳知念に成りすまし、宗務管長の神巳沢蘭に会い、平賀 永人の悪業を告げ、『操心術』の暗示をかける。
無意識に操られた蘭は、管長の平賀永人を襲うものの、奇しくもそれを察知した、兄の華柳知念により阻止された。
平賀永人への疑念を確かなものとした華柳知念は、一方でレーヤへの信頼を認める。
暗殺に失敗した弟の華柳知念は、枚方朔也達の不穏な動きを察し、京へ戻ることを決めた。
枚方朔也は、釈放された久我山宗守に刑事殺しの容疑を被せ、身柄を拉致して築地本願寺へ。
狩川 楓呪と祗園 火輪が、朔也の策略に従う。
影から無数の腕を出し、強大な力を秘めたレーヤ。
1002体目の千手観音と、取り戻すと決めた両腕。
最高位の蓮華座など、望みもしない。
レーヤの左右には、風神と雷神の真理と鶴城。
その真の役目を、知らぬまま…
そして迎える冥闇の新月、裏観月。
古き時代から伝わる、闇の観月祭である。
『恨み月』とも『怨み憑』とも称され、今も尚その冥主が説いた『月冥宗』の月華月陰経を唱え、冥主復活を祈る者達がいた。
天台と真言により戒められた2000年の封印。
それが解かれる刻を察した各宗派は、この東都に集い、或いは導かれ、その力を得んとする。
その冥力は、ある者の謀略によって、異国の魔をも呼び寄せ、今正に、雌雄を決する破局を迎えようとしていた。
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