サプライズちゃぶ台返し①

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サプライズちゃぶ台返し①

異常気象はなはだしいこの地球においても、どうやらクリスマスだけは シールドに包まれたような平常運転だ。 ここは雪国ではない。雪も滅多に積もらない。 なのに真昼間になっても気温の上がりはしりすぼみだ。 先週までの暖冬がなおさら寒さを助長させて、室内ですらエアコンなしでは ガタガタに震えて過ごすことになる。 大学の研究室まで足を運ぶにはつらすぎる。 かといって自宅のパソコンだと論文ははかどらない。 そんなわがままボディな俺にとって、アルバイトというのは 実に間をとった良い手段だった。休憩時間に入れば息抜きに携帯電話を いじって友達とマウントの取り合いもできる。 -結局シフト足りないって言われてさ。今日も夜勤だよ -がんばれや勤労学生!!俺はお先に出発する 送ったメールの最後に付けた顔文字が、手がかじかんだせいで怒り顔を 選んで送ってしまった。 -ごめん手え震えて間違えた 笑顔の顔文字を添えて、今度こそ完璧だ。失敗の履歴が残されているのに 一体何が完璧なのか。 -お出かけ?クリスマスにあんたが?似合ってないよ -悪かったな!手袋忘れてまでバイトに貢献するんや 彼女とこうやってつつき合うようになったのは、ほんのつい最近のことだ。
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