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生き返った❗
今年もあと3日だ。満月はきれいだな。
今日も1日良く働いた。
来年俺は30歳になる。20代最後の今年も色々あった。未だにアルバイトをして生計を立てているけれど、そろそろ正社員になろうかな。
でももう一つの仕事ができなくなるから難しいか。
俺は昨年のクリスマスに死んだ。
たくさんの線に繋がれ目を閉じた俺を上から眺める自分がいたのだ。
ではなんで今生きているのかというと、天使の秘書になったからだ。
〜遡ること、28歳のクリスマス〜
「なるか、ならないか。」
ローランドじゃあるまいし、「俺か俺以外か。」ってはっきり答えだせないよ。
俺は心の中でそう思った。
「秘書ってさまず何をするわけ?」
「簡単だよ。人助け。死にそうな人をあの世にお送りする。フランダースの犬って知らない?あのラストシーンがイメージね。」
「なぜ俺を選んでくれたの?」
「急がないと、身体なくなっちゃう。えい、いってらっしゃ~い。」
「あっ、え〜〜〜。」
気がつくとオレは、天井を見ていた。身体のあちこちが痛い。戻ったようだ。医師も看護師も一安心。家族も泣いていた。母も父も、妹もみんな。
みんながなんとなくいなくなった病室に再び現れたのが天使だ。
「身体、ボロボロだね。でも回復すれば動けるみたいだから奇跡だよ。
さっきは、ごめん。
急がないと魂が離れた身体だと判断されて火葬されたら生き返れないから無理やりもどしちゃった。嫌だった?」
「嬉しいよ。しかし身体が痛い。
でも生きてるから痛いと思うと嬉しい。
でさ、詳しく聞かせてほしいんだがまず貴方は誰なの?」
天使は、ペンギンみたいなポーズをとった。
やけにフリフリした服装をしている。
寒いのに、ミニスカートだし。
「私は天使のぷぷ。人間界では、さなえ。
私はね死んだ人を天国に導くガイドを仕事にしてるの。
でね、あなたの近くに来たわけ。」
「なぜ俺を生かそうとしてくれたの?
というか秘書って何するの?」
天使は少し膨れた顔をした。
「人間はめんどくさいわね。感じて会話とかできないのだもの。私は、あなたと気が合うと判断したのよ。
あなたの仕事はトナカイでしょう?
人間なのに動物になるなんて偉いわ。
しかもクソガキを相手に怒らないなんて。
トナカイとして優秀よ。だから、選んだの。」
俺はいつから動物になるアルバイトをしていたのだろうか。きぐるみを着てケーキを売っていただけなのに。
それから彼女は、秘書が何をするかを説明してくれた。彼女と行動をともにして、雑務をしたり、彼女の仕事を手伝う役目らしい。
「とりあえず身体を治すことが先だから、今はゆっくりおやすみなさい。」
僕は彼女の言葉とともに静かに眠りに落ちた。
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