初仕事。

1/1
前へ
/3ページ
次へ

初仕事。

俺は復活した。6ヶ月もの間入院をし復活した。 手も足も動くし頭も大丈夫。ようやくまた日常を取り戻すことができそうだ。  また、バイト探さなきゃ。 俺は25歳になる今まで実家生活をしている。高校を卒業し、大学も卒業した。しかし就職はしなかった。組織に属する生き方より好きなことを追求したいと考えたんだ。だけど好きなものもなかったから、なんとなく旅をして帰宅したがどうしたら良いかわからずバイトで食べてないで生きている。彼女はいない。 「ねぇー。和真さん、そろそろ出勤時間だよ。」   出勤って、なにか仕事してたか俺は。しかも、母さんあんなかわいい声してたかな。 俺は天井をみて考えた。 「ねぇ。私のこと忘れたの?ぷぷよ。あなたの雇い主。」 ぷぷ?そうだ俺は天使に助けられたんだ。なんで忘れちまったんだろう。 「ごめん、俺忘れてたみたいだ。今日から仕事なの?何したら良いんだろう。」 「ついてきて。」 俺はスェットのまま天使と出かけた。髪の毛もボサボサ。そして出かけた先は、近所の犬小屋だった。天使が言うには俺の姿は周りには見えてないそうだ。見える人は死んでいる人だかららしい。  「この子もう少しで死ぬの。だけど死にたくないって天国にいかないのよ。家族と一緒にいたいみたい。だけどもうダメ。浮遊霊になっちゃう。だから説得してほしいのよ。」 俺の前にはブルドッグがいる。しろでぶちが入っている。リボンがついていてメスのようだ。 俺は犬に近づいた。そして話しかけた。 「ねぇ、そのリボンかわいいね。」 犬はこちらを見た。 「うん。当たり前よ、真姫ちゃんが作ったのだもの。小さい真姫ちゃんが私のために作ってくれたのよ。」 真姫ちゃんとは、飼い主のことなのだろうか。って、犬ってしゃべれんのかよ。 「ねぇ、あんた身体が病気なんだろ。」 「ちがうわよ。私はちょっと風邪を引いただけ。なのに死ななきゃならないなんておかしいでしょ。だから死なない。この家守らないといけないのよ。」 俺は、家を見た。立派な家だった。宮殿みたいな作りで、花もきれいだ。しかしなんだか違和感がある。なんだろう。 人の気配だ。人の気配がない。 「和真さん、実はねこの家、一週間前に一家惨殺されたのよ。この家の主に逆恨みした男がやったらしいの。それからあのワンちゃん、ミミは一人でお腹をすかして死んでしまったのよ。でもあの子は家族を守れなかった悔しさからこの世から離れられなくなっているの。」 俺は、どうしたら良いか考えた。この子はまだ家族がいると思っているんだ。なんとかひとりになっちまったことがわかれば良いんだが。 「ねぇ、お前の家族はどこにいるの?」 「この家だよ。あそこの窓にいるのが真姫ちゃんだよ。お母さんとお父さんは忙しいからまだ帰って来てないんだろう。」 「ミミ、俺と家の中を守りにいかないか。真姫ちゃんひとりじゃさみしいだろうし。」 ミミは、頷き僕についてきた。そして扉をぷぷが開けた。やっぱり人気がなくて寒い。何だか血の匂いがする。俺は、ゆっくりと家中を回った。ミミは静かについてきた。そして真姫ちゃんの部屋に来た。真姫ちゃんの部屋は、特に血生臭かった。どうやらここが殺人現場なのだろう。 ミミは後ずさった。 「ミミ、なんで真姫ちゃんの部屋にいかないんだ。」 「真姫ちゃんは、生きてるから行かなくていいの。だってあの窓から見えたでしょう。だからだからいいの。帰ろうよ。」 俺はミミを抱えた。そして部屋に連れて行った。 そこには真姫ちゃんはいなかった。血の乾いた跡しかない。ミミは泣いた。守ってきた何かが崩壊してしまった様子だ。 「ミミ、大丈夫か。」 俺はミミをさすった。ミミの震える身体が温まるように何度も何度も。そしてミミの身体から伝わる真姫ちゃんが死んだ日を感じていた。 ミミは怖かったみたいだ。犯人は冷たい顔をしていた。あやつり人形みたいに何も入ってない人形が次々と人を殺していく。最初に殺されたのは、お父さんで庭で亡くなった。その姿をみてミミは大声で鳴いた。犯人はミミに近づきミミを叩き鎖を外した。ミミは身体の痛みを我慢しながら犯人を追いかけた。お母さんは玄関で倒れていた。真姫ちゃんが危ない。真姫ちゃんの部屋に向かうと犯人は真姫ちゃんの首を持ち何度も真姫ちゃんをさしていた。ミミは真姫ちゃんを守るため犯人に近づいたが犯人はミミを廊下に出して、部屋の鍵を締めてしまった。数秒経つと犯人は鍵を開けた。真姫ちゃんは、窓辺に刺されたまま置かれていた。犯人はミミの横を通り抜けて帰っていった。 ミミはそれからずっと痛みに耐えながら生きてきた。しかしもう寿命が来てしまったようだ。 「ミミ、お前つらかったね。もう真姫ちゃんがいる天国に行く時間だよ。また天国で真姫ちゃんを守らなくちゃね。」 ミミはコクッと頷くと天使が用意した光の階段を登っていった。俺は泣きながらミミをおくった。 「合格よ。すごいわ。和真さん。ミミ、喜んでいるわよ。真姫ちゃんに会えたの。さぁ今日の報酬よ。ついてきて。」 俺はぷぷとメイド喫茶で萌え萌えキュンをしている。なぜか、オムライスにラブパワーを入れて食べている。楽しいのか俺は。ぷぷはニコニコとしながら、萌え萌えを楽しんでいるようだ。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加