憂鬱な平日

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憂鬱な平日

次の日の早朝に、翠はやっと眠くなってきた。 そして、先生が起きてきた。 「(スイ)おはよー」 外が明るくなってきたので、五時ぐらいだろうか、随分早起きだなと思う翠であった。 『先生、おはよう』 翠は返事をするように、「にゃあ」と鳴いた。 そして先生は、準備をし始めた。大体の準備が終わると、翠にミルクを差し出した。 「どうぞ」 『ありがとう』 お礼を言うかのように、翠は「にゃん」と鳴き、お皿に入れられたミルクをペロペロと舐め始めた。 もうこの光景も慣れたものだ。 先生は、なにやら別のお皿に何かを入れている。キャットフードだ。 翠がミルクを飲み終わると、「はいどうぞ」とキャットフードを差し出した。 そして、翠がキャットフードをカリカリと食べ始めると、先生は翠の頭を撫で始めた。 相変わらずキャットフードは美味しいとは言えないが、先生が自分の頭を撫でているのが嬉しかった。 自然と喉がゴロゴロとなってしまう。 そんな幸せを過ごしていたが、先生が翠を撫でる手を止めた。 「やばい、時間だ。行ってくるね(スイ)!大人しくしてるんだよ。」 そう言って急いで準備を終わらせた。 『いってらっしゃい……』 翠は少し寂しそうに「にゃ…」と鳴いた。 先生が家を出た後、 しばらくして、翠はだいぶ眠くなってきていたために眠った。 目が覚めた時、翠は体をのび〜っと伸ばし、ふわぁとあくびをした。 翠は先生は今、どうしてるんだろう…とふと思った。 この部屋に時計は…と探すと、壁にかかっている時計を見つけた。 それはもう、十五時を指していた。 この時間なら先生も、みんなも学校だ。先生が帰ってくるまでまだまだ時間がありそうだ。 それまで特にすることもないし、翠は大人しくお留守番しようと思った。 翠は今までの人生、家で一人でいることがほとんどだった。 だから、お留守番なんて余裕……だと思っている。しかし、なんだか翠はなんとも言えない気持ちになっていた。 『私、もしかして寂しいの……?』 翠は自分の気持ちを自覚した。こんな気持は初めてだった。 先生が、自分のことをかまってくれるのがとても嬉しかったから、それまで自分のことをかわいがってくれる人なんて居なかったから… たとえ猫の姿でも翠は本当に嬉しかったのだろう。 翠の中で、先生への恋心がどんどん大きくなっていった。 しかし同時に、先生が居なくなるとどうしようもない喪失感に駆られるのだ。翠にとって初めての気持ちでも、翠はかなり憂鬱になっていた。 ずっと日曜日だったら良いのに、なんて考えていた。
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