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ステージを降りた後
「はい、まさ☆やすのお二人、お疲れ様でしたー」
「どうもありがとうございましたー」
「お世話様でしたぁ」
「下界で有名だったお二人のステージ、生で見れてよかったです!!」
「いやワシも、死んだ後も天国で漫才やれるとは思ってませんでした。楽しかったですわ」
「しかし天使はん、あれでよかったんですかね」
「え?」
「あたしら、生前のように好きにやらせてもらいましたけども」
「いやいや、お二人のおかげで、転生希望が今続々と出ているんですよ。
天国にきたといってもね、生前辛い目に遭われていた方は、転生に消極的な方が多いですからね。こちらとしても、気持ちよく、前向きに転生していただきたいですし。
実際お二人の漫才を見て『元気をもらった』『久しぶりに笑った』『また転生して、下界で生きてみたい』って皆さんおっしゃってます」
「それならよかったですけども」
「あの、勇気くんはどうなりました?」
「あの子も転生希望を出しましたよ」
「……よかった。あの子、ワシらの子供と同級生なんです。
親に満足に食べさせてもらえず、周囲にもその状況を隠して、雨の日に西原第六公園で行き倒れて亡くなって……気になってたんです」
「まさかあたしたちが死んで天国にくるまで、ずうっとここでふさぎこんでたなんてね」
「まさひろさん、やすこさん。あの子、言ってました。『あの公園で僕は死んだけど、まさ☆やすの二人は楽しく遊んで、結婚して、いろいろありながらも楽しそうに天国でも漫才してる。僕も、転生したら楽しいことがあるかもしれない。だって今日、あんなに大勢の人に立てた。皆笑顔で僕を見てた。僕の存在を認めてくれてた』って」
「ああ、よかった。ねぇやすこさん」
「よかったねえ、まさひろさん。
じゃあ、あたし達もそろそろ転生するかね」
「そうだねぇ。その前に」
まさひろとやすこは、向かい合った。
「「どうも、ありがとうございました」」
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